研究概要 |
実験動物(Fischer344系)ラット骨格筋に損傷を与え,筋の回復過程における組織学的・生理生化学的変化を検討を行っている。 平成11年度の実験にて,筋の損傷は強縮時の伸張性収縮回数が多いほど増加すること,マクロファージの浸潤面積が拡大することを明らかとした。また,伸張性収縮に対する易損性が筋線維タイプ別に存在し,明らかに崩壊する線維には、速筋線維typeIIbが多数を占めていた。 そこで平成12年度の計画では,回数の異なる伸張性収縮による筋損傷後に走トレーニングを行い,損傷量の大きさとトレーニング効果の関係,あるいはトレーニング期間の違いと速筋線維typeIIb占有率やミオシン組成について調べた。 この実験から,筋損傷度とトレーニング効果の対応を検討し,特に筋線維タイプの移行に対して筋損傷をともなう脱神経と再支配、並びに適刺激が神経支配の変換を起こす可能性を検討した。期間を延長した場合,ミオシン組成における混在線維とtypeIIb線維が減少し,より有意なトレーニング効果としてのタイプ移行が進んだ事実が得られた。また,一横断面上の筋線維数を算出した結果,対照群3309本に比べ損傷筋では3872本と有意に高値を示した。このことは損傷筋内に再生筋線維と考えられる極少線維が多数観察された結果と関係するようであった。 極少線維が腱から腱までの一本の筋線維か,分岐鎖線維か,筋線維タイプを同定できる成熟線維か,収縮機能に参加しているか,等の多くの疑問が残された。 平成13年度にはトレーニングの種類を協同筋切除による慢性刺激として,より大きな活動刺激を長期間期間与え,極少線維の存在価値を検討したい。
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