研究課題/領域番号 |
11680024
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
下村 吉治 名古屋工業大学, 工学部, 教授 (30162738)
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研究分担者 |
村上 太郎 名古屋工業大学, 工学部, 助教授 (10252305)
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キーワード | 加齢 / 運動トレーニング / インスリン感受性 / ラット / insulin receptor / IRS-1 / PI3-kinase / 遺伝子発現 |
研究概要 |
成熟及び加齢に伴い末梢組織のインスリン感受性が低下することはよく知られている。一方、運動トレーニングは骨格筋におけるインスリン感受性を亢進させることが明らかにされているが、そのメカニズムについては不明な点が多い。本研究では、インスリン作用の情報伝達に関与する遺伝子の発現および酵素タンパク質に対する加齢と運動トレーニングの影響について検討した。【方法】3週齢のWistar系雌性ラット42匹を対象とした。ラットを任意に安静(Sed)群とトレーニング(Tr)群に分け、Tr群は回転車輪付きケージにて飼育し、自発走行運動を行わせた。4、12および27週齢で屠殺して腓腹筋を摘出し、insulin receptor(IR)、insulin receptor substrate-1(IRS-1)およびphosphatidylinositol 3-kinase (PI3-kinase)のmRNAをreverse transcription-PCR法、タンパク量をWestern blot法により測定した。【結果および考察】IRとPI3-kinaseの遺伝子発現に対して、加齢と運動の影響は認められなかった。Sed群におけるIRS-1の遺伝子発現は、4週齢に比して12週齢では74%、27週齢では48%であり、加齢により有意に低下した。一方、Tr群におけるIRS-1遺伝子発現には、加齢による有意な低下が認められなかった。また、27週齢においてTr群はSed群に比して有意な高値(1.7倍)を示した。IRのタンパク量に対して、加齢と運動の影響は認められなかった。Sed群におけるIRS-1のタンパク量は、4週齢に比して27週齢では63%であり、加齢により有意に低下した。一方、Tr群におけるIRS-1のタンパク量には、加齢による有意な低下が認められなかった。Sed群におけるPI3-kinaseのタンパク量は、4週齢に比して27週齢では73%であり、加齢により有意に低下した。一方、Tr群におけるPI3-kinaseのタンパク量には、加齢による有意な低下が認められなかった。以上の結果より、加齢によるインスリン感受性低下に対する運動トレーニングの改善効果には、骨格筋におけるIRS-1の遺伝子発現の上昇とタンパク量の維持、さらにPI3-kinaseのタンパク量の維持が関与している可能性が示唆された。
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