研究課題/領域番号 |
11680024
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
下村 吉治 名古屋工業大学, 工学部, 教授 (30162738)
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研究分担者 |
村上 太郎 名古屋工業大学, 工学部, 助教授 (10252305)
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キーワード | 糖尿病 / 分岐鎖アミノ酸代謝 / 分岐鎖α-ケト酸脱水素酵素 / 運動トレーニング / 酵素蛋白質 / mRNA / ラット / BCKDHキナーゼ |
研究概要 |
分岐鎖α-ケト酸脱水素酵素(BCKDH)複合体は分岐鎖アミノ酸分解の律速酵素であり、酵素蛋白質のリン酸化による活性調節を受ける。BCKDH複合体のリン酸化による不活性化を触媒する酵素がBCKDHキナーゼである。本研究では、糖尿病ラット肝臓のBCKDH複合体の活性と酵素発現に対する運動トレーニングの影響を検討した。糖尿病ラットはstreptozotosin(50mg/kg BW)の静脈内投与により調製した。運動トレーニングとして、トレッドミルによる走行運動を45分/日、4週間負荷した。4週間の糖尿病により、肝BCKDH複合体の活性型酵素活性と総酵素活性は正常群の約160%まで有意に上昇した。一方、運動トレーニングを行った糖尿病ラットのBCKDH複合体活性は、正常群と同レベルを示した。この結果は、運動トレーニングが糖尿病により誘発される酵素活性の増加を阻害したことを示している。肝BCKDH複合体の活性状態(活性型の%)は、全ての群のラットにおいてほぼ100%であり、この活性状態は糖尿病もしくはトレーニングにより影響されなかった。従って、このトレーニング効果にはキナーゼの関与はないと考えられる。肝BCKDH複合体のサブユニット(E1αとE2)の蛋白質量と、E2サブユニットのみのmRNA量は、活性と同じ傾向を示した。これらの結果より、ストレプトゾトシン糖尿病ラットの分岐鎖アミノ酸分解能は運動トレーニングによって抑制され、この調節は糖尿病により誘発される肝BCKDH複合体発現の抑制を伴うことが示唆された。
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