本研究は、3歳から6歳までの同一幼児を追跡測定する縦断的研究であるが、本年度は初年度であるため、3歳から6歳までの横断的なデータを用いて以下の分析を行った。 被験者:3歳から6歳までの幼児280名(男児141名、女児139名)を対象として、人体測定(12項目)、皮下脂肪厚測定(14部位)、身体組成測定(インピーダンス法、総体脂肪量、皮下脂肪量、体内深部脂肪量、除脂肪量)を実施した。小児肥満の成人肥満への連続性を検討するため、コントロール群として成人女性44名を対象に幼児と同一項目の測定を行った。 分析1. 3歳〜6歳児の身体組成における年齢変化 結果;3歳から6歳まで有意な増加量を示すのは男女とも除脂肪量であり、男児では6歳まで体脂肪の有意な増加量は認められなかった。しかし、女児では、5歳から6歳にかけて総体脂肪量と皮下脂肪量に有意な年間増加量が認められた。 分析2.. 3歳〜6歳児の体脂肪分布に関する性差 結果;3歳〜6歳の各年齢でBMIをマッチングさせた男児と女児で体脂肪変数を比較すると、女児の総体脂肪量や体脂肪率は男児よりやや高い傾向にあったが、統計的な有意差には至らなかった。しかし、総体脂肪量を皮下脂肪量と体内深部脂肪量に分割して検討すると、体内深部脂肪量に有意な性差は認められなかったが、皮下脂肪量の体重に占める割合は、この頃から既に女児に有意に高い傾向が認められた。 分析3. 同一体脂肪率を有する女児幼児と女性成人の身体組成の比較 結果;体脂肪率20〜25%の女児と女性成人を比較すると、皮下脂肪量の体重に占める割合は成人に高く、体内深部脂肪量の占める割合は女児に高く、いずれも統計的な有意差を示した。体脂肪率25〜30%の女児と女性成人を比較しても、この傾向は同じであった。しかし、除脂肪量の体重に占める割合は両体脂肪率群とも幼児と成人間に有意差は認められなかった。
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