本研究は、3歳〜6歳まで同一幼児を縦断的に測定し、それらの身体組成分析から幼児期肥満を幅広い視点から研究するものである。 本年度は、4歳〜6歳まで縦断的に測定できた男児29名と女児23名のBMIのevolution curveを3つのパターンに分類し、それぞれのパターンにおける形態学的特徴と体脂肪の特徴を検討した。その結果、以下のような興味ある結果が得られた。 1.BMI evolution curveは、BMI最小値が4歳に認められその後上昇するearly type、BMI最小値が5歳に認められその後上昇するintermediate type、BMI最小値が6歳に認められ4歳から下降し続けるlate typeに分類できた。 2.各typeの身長と体重はearly typeの平均値が他の2つのtypeより有意に大きい傾向を示した。 3.この傾向はtricepsとsubscapularの皮下脂肪厚にも認められた。 4.しかし、total body fat massでは各type間にそれほど顕著な差は認められなかったが、この2年間における体脂肪量の増加はearly typeが他の2typeより有意に大きかった。 5.身体14部位の皮下脂肪厚から推定したsubcutaneous fat massはearly typeが他のtypeより厚く、特に5歳、6歳と年齢が増加するに伴いその差は有意になった。 以上の結果は、男女に共通するものであったが、その傾向は男児においてより顕著であった。以上のことから、BMIが4歳という若年に出現し、それ以降上昇し続ける幼児では、他の幼児と比較して体脂肪、特に皮下脂肪の蓄積が顕著である傾向が明らかになった。このことは、幼児期肥満が成人期肥満へ移行する重要な要因となりうるかも知れない。
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