本研究は、3歳〜6歳まで同一幼児を縦断的に測定し、それらの身体組成分析から幼児肥満を幅広い視点から研究するものである。 本年度は、肥満幼児の判別に用いる BMI法の妥当性を検討すると同時に、BMI法の欠点を補うため除脂肪量指数(FFMI)と脂肪量指数(FMI)を用いて、日本人幼児におけるこれらの標準値を作成した。結果は、以上のように要約できる。 1.肥満幼児を判別するBMIの妥当性を検討するため、インピーダンス法によって測定した%FATによる判別とBMIによる判別をsensitivityとspecificityで検討した結果、BMIによる肥満の判別はインピーダンス法による判別に対して、specificityは90%以上の値を示したが、残念ながらsensitivityは60%前後で高い判別感度を示さなかった。 2.BMIは身長を調節した体重の指数であるが、発育期にある幼児に対しては、ある時期必ずしも身長の影響を除去しきっていないことが考えられるため、除脂肪量/身長^2(FFMI)と脂肪量/身長^2(FMI)という指数を用いて、身長の影響が出ない時期を検討した結果、3〜5歳の時期は身長の影響が出ない指数として使えることが判明した(6〜8歳では身長の影響がでた)。そこで、日本人幼児集団におけるこれらの指数の各パーセンタイル値を求め、25〜75%ile値から日本人幼児のFFMIとFMIの標準値を作成した。
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