研究概要 |
[目的]本研究では,下肢温浴による温熱負荷時の皮膚血流調節と発汗制御における中枢性・末梢性機序の検討(平成11年度),運動負荷時の皮膚血流調節と発汗制御における中枢性・末梢性機序の検討(平成12年度)について陸上運動鍛練者と水泳鍛練者との比較から,トレーニング環境の異なる鍛練者の体温調節機能の特徴を明らかにすることを研究目的とする.水中での発汗は体温調節においては無効発汗となること,水中運動では水の物理的特性(熱伝導率が高い)により陸上運動と比較して容易に体温上昇を押さえらる.このことから水泳鍛練者と陸上運動鍛練者ではその体温調節機能は異なると考えられる. [方法]実験の目的,内容の説明後,被験者として協力する事を承諾する男子水泳,陸上選手を対象に26.0℃,33%rhに設定した人工気象室(設備:長崎大学環境科学部)にて下肢温浴による温熱負荷により水温を28〜41.0℃まで段階的に上昇させ,レーザードップラー血流計を用いて,左手示指末節掌側および前腕部外側に血流プローブを装着して,皮膚血流量の変化を測定する.皮膚血流量の変化から温熱血管収縮反応(Heat-induced vasoconstriction:HIVC)を検討する.同時に喚起カプセル法により発汗量,発汗拍出頻度,サーミスター温度計により鼓膜温,皮膚温および心拍数の測定を行う. [経過]これまでにすべての実験機器の設置,調節が終了し,予備実験を開始している.まだ例数は水泳選手2名,陸上選手3名と少ないが,予備実験の結果,HIVC発現が水泳選手の方がやや早い傾向であることが観察された.また,同時測定した局所発汗量の内,特に胸部の発汗量において,水泳選手の方が多い傾向であった. 第2年度においては,例数を増やすとともに,運動による温熱負荷,冷血管拡張反応(Cold-induced vasodilation :CIVD)の測定も加え,皮膚血流調節と発刊制御における中枢性・末梢性機序の検討を行う予定である.
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