鹿児島大学教育学部附属中学校で、4月よりセルフ・リラクセーション課題やペア・リラクセーション課題を中心とした「ストレスマネジメント教育」を週1回のペースで継続的に行った。その効果を検討するために、5月、7月、9月、11月に、全学年計600名に対して「ストレッサー→認知的評価→コーピング→ストレス反応」という心理社会的ストレス過程に沿って「学校ストレス反応調査」を実施した。そして、次のような結果を得た。 (1)高学年ほど「友人関係」「学業」「教師」「部活動」をストレッサーと感じる傾向が強くなり、時期では11月がその傾向が強かった。ただし、「友人関係」にはその傾向は現れなかった。調査時期に関係なく、女子は男子よりも「学業」をストレッサーと感じていることが明らかになった。 (2)認知的評価における「ストレッサー影響性」について、2・3年生は11月の方が他の調査時期よりも影響性が低く、「ストレッサーに対するコントロール可能性」については、全ての学年において5月よりも他の調査時期の方が高かった。つまり、ストレスマネジメント教育を行うことによって、ストレッサーに対する認知的評価が改善されたことが明らかになった。 (3)「積極的対処」「思考回避」「諦め」というコーピング方略のなかで、2・3年生は「思考回避」や「諦め」方略を多用していることが明らかになった。また、11月が他の時期よりも「思考回避」や「諦め」得点が高いことが明らかになった。 (4)高学年ほど「不機嫌・怒り」「抑うつ・不安」「身体反応」「無気力」というストレス反応を示す傾向が高く、時期では7月が最も高い傾向が示された。 以上の結果から、ストレスマネジメント教育によって認知的評価が改善されることが明らかになった。
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