本研究の調査・実験校である鹿児島大学教育学部附属中学校で、1999年から2001年までの3年間、4月よりリラクセーション課題を中心とした、「ストレスマネジメント教育」を週1回・30分間、全校で実施してきた。毎年5月、11月に全学年計600名を対象に「ストレッサー→認知的評価→コーピング→ストレス反応」という心理社会的ストレス過程に沿って「学校ストレス反応調査」を実施してきた。3年間の継続効果を検討するために各学年ごとに3〔'99・'00・'01〕×2〔男・女〕×2(5月・11月)の3要因混合分散分析を実施し、次のような結果を得た。 (1)ストレッサー尺度における「友人関係得点」において、3年生女子の場合、2001年の得点が1999年の得点よりも低かった。つまり、3年生女子では、2001年の方が1999年よりも友人関係をストレッサーと認知する傾向が低くなった。 (2)ストレッサー尺度における「教師との関係得点」において、3年生の場合、2000・2001年の得点が1999年の得点よりも低かった。つまり、3年生では、2000・2001年の方が1999年より教師との人関係をストレッサーと認知する傾向が低くなった。 (3)ソーシャルサポート尺度における「友人得点」おいて、3年生の場合、2000・2001年の得点が1999年の得点よりも低かった。つまり、3年生では、2000・2001年の方が1999年よりも友人からのソーシャルサポートを知覚する傾向が高かった。 以上の結果より、ストレスマネジメント教育を継続的に実施することによって、「友人関係」や「教師との関係」をストレッサーと評価する傾向が低くなり、認知的評価か改善されることが明らかになった。
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