研究概要 |
サルコムアの縦配列数を示す筋線維長は、骨格筋の収縮速度を決定する重要な要因であり、スプリント系のスポーツ・パフォーマンスとの間に有意な相関関係が認められる(平成11年度成果)。骨格筋の筋線維長は主に遺伝的要因によって強く影響を受けているが、その反面、環境要因によっても変化する可能性が示唆された(平成12年度成果)。そこで、今年度はトレーニングに伴う筋線維長の適応の可能性について、スポーツ選手の利き足と非利き足の比較から横断的に観察した。その結果、利き足と非利き足における筋サイズの差と、同じく両者の筋線維長の差との間には有意な相関関係が認められ、利き足の筋における筋肥大が筋線維の長さ変化に関与している可能性が明らかとなった(Eur J Appl Physiol,2001)。さらに、縦断的なトレーニング実験として、レジスタンス・トレーニングによる筋肥大とそれに伴う筋線維長の変化について検討した。しかし、トレーニング6ヶ月の時点では、外側広筋の筋肥大は約10%認められたが、筋線維長に明らかな変化は観察されていない。本年度は筋線維長とスポーツ・パフォーマンスとの関係について、女子短距離選手の調査だけでなく、筋力の最大能力を競うパワーリフティング競技の挙上重量と筋束角および筋線維長との関係についても検討し、興味深い結果を得た。
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