研究概要 |
この4年間、乳幼児の四足歩行をDVカメラにて縦断的に記録し、その歩容の個体発達過程をHildebrand(1966)の歩容グラフ上に記述することを試みた。二足歩行移行後も継続的に記録できたのは6名で、うち3名は3歳半以上、残りの3名は1歳半以上まで観察できた。いずれも膝をつけた四つ這いが主であった。以下結果の概略を記す。 1、本研究で得られた四つ這いの歩容は全てLS (diag. cpts.)とTrotのWalk (very slow、slow, moderate)の範囲内であったり、これはHildebrand(1967)が示した乳児の四つ這いの歩容の分布領域と大差なかった。 2、ゆっくりと移動した四つ這い開始初期の歩容はLS (diag. cpts.)-very slow、slowであり、Hildebrand(1976)が四足歩行の源泉とみなした領域内であった。 3、二足歩行開始の頃にはTrot-moderateに分布し、対側前後肢は同期して動く傾向となり、二足歩行開始前後か良く歩く頃は熟達した四つ這いを行った。それ以後速さは遅くなり、二足歩行という新しい移動様式を獲得するためにそれ以前の移動様式である四つ這いは抑制されると考えられた。しかし1歳4月頃までにまた速さが増し、2歳半でまたTrot-moderateとなりその可能性は消失するのではないと考えられる。 4、3歳以降はLS、Trot-moderateであったが、顕著にLS-moderateを示すことがあった。しかし、これらの変化のモデル化を考えるまでには至らなかった。 H15年度からも科研費の補助を受けることとなり,今回よりも一歩前進した段階で様々な事に取組んでいければと思う。
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