研究課題/領域番号 |
11680053
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
体育学
|
研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
岩垣 丞恒 東海大学, 体育学部, 教授 (10056103)
|
研究分担者 |
新居 利広 東海大学, 体育学部, 助教授 (50175949)
|
研究期間 (年度) |
1999 – 2000
|
キーワード | 持久性トレーニング / MCV / plasma PC / カテコールアミン / 赤血球膜PC / ch / pc比 / 赤血球膜流動性 / 赤血球膜変形能 |
研究概要 |
長距離選手の持久性能力の指標は最大酸素摂取量とされるが、一流選手になるほどperformanceとこの関係が成立していない。この背景を血液中の赤血球指標(RBC、MCV、MCHなど)に求め、赤血球指標の特徴との関係を検討した。 先ず、大きな矛盾点が見出された。4年間に亘る長距離選手の赤血球指標を縦断的に測定すると、持久性トレーニングに伴い、赤血球数(RBC)が低下し、血液粘性も低下してくることであった。これらの低下は酸素摂取量の立場から見ると、負の条件下になるが、現実的には、このような変化のなかで自己のperformanceが亢進していた。この背景を赤血球指標としてのMCV、MCHで見ると、RBC低下にしたがってMCV、MCHの代償的増加が出現していた。MCVのこのような変化は少なくともplasma lipidsとの間の生化学的要因にあると予測した。リン脂質を多く含むplasma HDLには赤血球膜脂質を構成する物質が多い。そこで、MCVとplasma HDLとの相互関係を調べると、有意な相関係数を示す群とこれらの関係が成立しない群に分かれ、それぞれおよそ50%づつであった。赤血球膜PCとplasma PCとの間にはLCATを介した相互関係が存在することから、plasma PCとplasma HDLとの関係を調べると、これらの関係は直線的な比例関係にはなかった。MCVとplasma HDLとの関係が成立しない群では、plasma PCが有意に低かった。すなわち、MCVとplasma HDL関係の成立には、plasma PC量の存在があった。 これらの結果から、持久性トレーニングに伴う代償的なMCVの増大にはplasma PC量が関係し、LCATの働きは赤血球膜PCを増加させることになり、赤血球膜PCの増加は膜の流動性、しいては変形能を高め、赤血球を柔らかくしていることになる。 そこで、これらのmechanismについて、exhaustion exercise、カテコールアミン、機械的刺激による要因について再検討した。その結果、運動に関するこれらの因子すべてが、赤血球PCを増加させ、赤血球膜の流動性を高めていた。 これらの結果から、運動やトレーニングの必要性は赤血球膜機能の宿命に存在していることが考えられた。
|