インパクトローディング(ジャンプトレーニング)は大きなメカニカルストレスを与えるため、ラットの下肢の骨形成を促進して、横断面の皮質骨面積、骨量、骨強度を増加させる。インパクトローディングの骨に対する効果は、卵巣摘出した女性ホルモン分泌抑制下のラットにおいても、シャム手術(非摘出)を行なったラットと同程度であることを前年度の研究で明らかとした。また、卵巣摘出ラットにおいては骨形成の指標である血清オステオカルシン、および骨吸収の指標である血清1CTPが高く、高回転型の骨代謝になっていることが明らかとなった。高回転型の骨代謝の場合、骨に対するメカニカルストレスの効果は比較的速やかに消失する可能性が有るため、週当たりのトレーニング頻度が少ない場合には、骨量や骨重量の増加が十分に表れない可能性がある。そこで本年度の研究においては、1週間当たりのトレーニング頻度に着目した。実験にはウィスター系雌ラットを用い11週齢時に卵巣摘出手術を行ない、12週齢から8週間をトレーニング期間とした。飼料・水は自由摂取とし、インパクトローディング負荷方法として、高さ40cmのジャンプを10回行なわせた。2つのトレーニング群(週1回トレーニング群、週3回トレーニング群、各n=10)とコントロール群を設けた(n=9)。その結果、週1回のジャンプトレーニングでも卵巣摘出ラットの脛骨の脱脂乾燥骨重量、および3点支持破断試験による骨強度を有意に増加させた。先行研究との比較において、この効果は卵巣非摘出ラットと同程度であった。しかし、骨幹部の横断面積分析においては皮質骨面積の増加が観察されず、卵巣非摘出ラットとは異なる結果となった。以上の結果より、週1回のインパクトローディングは女性ホルモン分泌抑制下のラットにおいても骨重量・骨強度を増加させるが、骨形態に表れる効果は非摘出ラットと異なることが明らかとなった。
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