本研究では、輸送ネットワークの地域的不均等発展の過程を、数理モデルの構築を通して理論的に説明することが目的である。その際に、数理モデリングと地理情報システム(GIS)を結びつけて、より視覚的に現象のシミュレーションを行った。 本年は、昨年に引き続き、ジャネルの「時空間収束」概念、アレン・サングリエの「自己組織化」モデルを援用しながら、輸送ネットワークの地域的不均等発展に関するシミュレーション・モデルを構築した。モデルの特徴としては、歴史の変革期においてたまたま交通革新が行われた地域で時間距離空間が大幅に収縮し、今度はその地域に含まれる諸都市が都市間競争において相対的優位性をもつために再び交通革新の投資が行われやすいという、地域的不均等発展の過程を、非線形非平衡システムのモデルとして定式化したことである。 この結果を、日本の近代都市および交通の発達史と対照させながら、平成12年8月に国際地理学連合IGC大会(韓国:ソウル)にて"A Simulation Model of Urban Agglomeration through Time-space Convergence Process"という題目で発表した。この発表をまとめた論文を、Kluwer Academic Publishersから出版される共著書に収録の予定である。
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