研究概要 |
本年度は昨年度の研究成果をふまえ,主に広域中心4都市の支社オフィス立地変動と都市内部地域構造の関連について検討を加えた。その主な結果は以下のようである。 (1)各都市のおけるオフィス立地変動は主に新設・新規上場によるものであり,移転・非移転が立地変動に占める割合は小さい。 (2)1990年代を通して,広域中心4都市の支社オフィス数は増大しており,それはとりわけサービス業,中でも情報サービス業のオフィスが中心であるが,先端技術系企業のオフィスも多い。 (3)オフィス集積度は4都市ともに中心地区から周辺地区へと低下するが,中心地区から周辺地区への離心的移転が卓越する傾向が認められる。ただし,離心的移転とはいえ,中心地区の周辺部(都心周辺地区)への移転が主であり,大半の移転は都心周辺部を含めた範囲内部で完結している。 (4)都市地域構造との関連では,福岡を除く3都市においてはオフィスの中心地区への一極集中傾向が強い。福岡では天神地区と博多駅前地区の二極にオフィス集積が分化している。また,4都市ともに,JR中心駅周辺地区への集積傾向が強まりつつあり,さらに周辺の郊外地区においても流通業務団地やインダストリアルパークなどへの集積が高まりつつあることなどから,今後,オフィス機能からみた都市内部中心地構造は大きく変容するものと予想される。
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