1.現地調査と資料の収集・整理 今年度は、当初の計画通り先進産地の広島(備後表、8月15日〜18日)、岡山(備前表、10月31日〜11月3日)、それに未調査の周辺産地として石川県小松市(小松表、9月29日〜10月2日)、高知県土佐市(平成12年2月18日〜20日)の現地調査を実施し、併せて資料の収集も行った。この結果、今後の研究にとって次のような成果が得られた。 (1)広島産地では、流通のあり方が変化し、問屋間の棲み分けが進行している。 (2)岡山産地の中栗坂では、集落単位の強固な組合組織がある。熊本産地の今後を考えるうえで大きな示唆を得た。 (3)小松表の構造改善事業による分業化の実態把握ができ、今後の興味深い課題となった。また、貴重な文献として能美郡藺莚同業組合『藺莚業の栞』(1928年)を入手した。 (4)構造改善事業による、い草栽培の集団化が進んでいる。その一方でい草栽培の減少が続く。 2.基本的な文献・統計資料の資料収集・分析 『農商務省統計表(復刻板)』をはじめ、予定していた文献は入手できた。また、「熊本県藺業協同組合」の議事録も、組合のご好意ですべて複写できた。これは大きな収穫であった。これで熊本県産地の動向分析がすすむものと期待している。
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