1.現地調査と資料の収集・整理 本年度は、当初の計画通り先進産地の流通資本による産地の従属・再編の実態把握に力点を置いて調査を実施した。特にここ数年、「備後表」産地(広島県)の流通資本による中国産畳表の取扱量が増加しており、熊本産地から中国への再編が急速に進行している。このため、「備後表」産地の流通資本の動向を中心に平成12年8月と、同13年1月・3月に重点的に聞き取り調査と資料収集を実施した。なお目下、政府は畳表の緊急輸入制限措置(セーフガード)発動に向けた調査を実施中である。そこで、熊本産地の現状を考える上で、これまでの産地再編下での衰退産地の動向の理解が欠かせなくなり、9月に「近江表」産地、11月と平成13年2月に「琉球表・沖縄表」産地、平成13年1月に大分県の「七島い」産地など、い業の伝統的な衰退産地の現地調査を実施し、歴史資料などの収集もおこなった。 2.熊本産地の動向とその実態把握について 熊本産地では「い業産地再構築緊急アクションプログラム」を策定し、「ひのみどり」(品種)、「ひのさらさ」(銘柄)生産者を中心に、産地の存続をかけた取り組みが始まった。これを受け、い業国際化が顕現化した90年代以降の産地内部の動向を統計資料を基に詳細に分析し、産地内部の地域的特徴の把握が出来た。その結果、熊本産地の構造的課題がかなり明らかとなり、今後の産地振興策の検討に役立つことになった。
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