研究概要 |
本研究は、い業の国内および国際的な産地間競争による産地の再編と大規模新興産地の構造的課題について考察した。 2000年現在、日本のい草栽培面積は2,890haで、10ha以上栽培する産地は石川(11ha)、岡山(15ha)、広島(55ha)、高知(30ha)、福岡(134ha)、佐賀(33ha)、熊本(2590ha)、沖縄(15ha)である。このうち熊本県は、全国作付面積の89.6%を占め、日本における大規模ない草の産地となっている。わが国では、1990年代以降、中国から安価ない製品の輸入が急速に拡大してきたことにより、国内自給率は1990年の87%から2000年には41%にまで低下し、国際的な産地の再編が進んだ。 岡山県の流通資本は、日本の高度経済成長期以降、外国からい製品を輸入し国際的な産地の再編を図っていった。広島県の流通資本も、原料のい草を熊本県や高知県から移入し、高品質な畳表の生産する伝統産地としての地位を維持していった。一方、熊本県産地は、安価な畳表を大量に生産する産地として自らを性格づけていくことになる。そのため中国産のい製品と競合し、1990年代以降、い草の栽培は急速に減少していくことになる。 熊本県産地の課題は、低コストで高品質な畳表を如何に生産するかである。そのため多くの産地振興策が実施されてきた。1996年には新品種の改良事業も始まり、1999年にはアクションプランが作成された。目下、これが実行に移され、その成果が期待されている。
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