都心の空間的な機能集積のあり方を旧来のCBDと郊外に形成された新都心について、アメリカのアトランタを事例に考察した(研究発表欄記載)。そのための土地利用などの電子媒体による図化は、GISへの転用も考慮に入れた詳細な地図作業で従来あまり行われていない。考察の結果からは、CBDが60年頃まで成長を続けたが、社会問題の顕在化とともに衰退地区が周辺にあらわれ、コンベンション中心の再開発地区、官庁街など機能分化したいくつかの地区群の構成となった経緯が示された。一方郊外都心は、80年代までの郊外住宅地と低層オフィス、ショッピングセンターからなる都市化から、業務集積が進みつつある状況が明らかとなった。これは今後、郊外都心が、職住近接性や環境面でのメリットを損ねる可能性を示す。また車指向の拡散的な内部構造も問題で、CBDも同様の構造に向かいつつある。日本の大都市圏における生活行動面に関しては、通勤流動の時系列データをMAP/INFO上で整備・分析しつつある。またARC/VIEWでは総務庁小地域データの分析に入っている。これらの結果の一部は、東京大学空間情報科学研究センターの研究会や人文地理学会経済・都市地理研究部会と共催の日中地理学会(99年10月16日 於:京都大学文学部)で報告を行った。研究分担者の水野は企業立地と技術的な企業間関係に関して、基礎となるデータベースの整備ならびにMAP/INFOを利用したGISにおける空間分析の基礎的データの収集と構築を行い、次年度の研究報告に向けて分析を進めている。
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