研究概要 |
昨年度から継続して行ってきた三大都市圏の通勤データを時系列でGIS化する作業を完成した。そこから、同心円やセクター状に分割した地区ごとに通勤率がどのように変化してきたのか、すなわち郊外での通勤率上昇の結果どのような流動が発生してきたのかを大阪大都市圏について分析した。また他の大都市圏との通勤流動の変化状況について比較検討をすすめた。あわせて国勢調査・事業所統計・商業統計の小地域データやメッシュデータ、各種統計の統合データを元にした検討を行った。詳細は研究成果報告書に譲る。また水野は日本地理学会春期学術大会(2000年3月早稲田大学)ならびに人文地理学会経済・都市地理部会(2000年5月大阪学院大学)において研究報告を行った。研究内容は、郊外における企業集積に深く関連する企業間連関について,大阪府の郊外に立地する中小製造業がどのような企業間連関によりイノベーションを創出しているかの考察である。データは特許データを用い,企業間の共同登録による特許を抽出し,GISにより地図化して企業間の地理的距離を測定した。対象企業とその属性については各種の企業ディレクトリを用いた。分析の結果は,以下のとおり。第一に,大阪の郊外の企業が特許を共同で登録している相手は,大阪市内の事業所の比率が高い。しかし,郊外の企業間や東京の事業所との共同登録も少なくない。特に,非上場企業との共同登録が多く,郊外企業間の連関からのイノベーションの創出が確認された。その他,小企業や若い企業ほど,近接した企業とのネットワークからイノベーションを生み出す傾向などを見いだした。
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