本研究は、地理学の思潮が、現代の社会環境に対応した教育研究体制の改変によって、いかなる変質を受けているのかを明らかにしようとした二年計画の研究の一年目にあたる。1999年度の研究計画の中心は、地理学教育機関としての諸大学のカリキュラムの改変および卒業生の就職・進学状況や研究・教育体制に関する現地調査と郵送によるアンケート調査である。アンケート送付先のリストは、「地学雑誌」の大学における地理教育特集号を編集委員として編集した際にまとめたものを活用し、加えて、一部の大学には直接担当者に面接を行った。とくに2000年8月にソウルで開催される国際地理学連合の第29回国際地理学会議の地理教育分科会では、初等中等教育の教員や大学・研究所の研究者以外への地理学科卒業生の就職状況と、それに向けたカリキュラムなどのあらたな対応の状況を明らかにすることが求められ、その口頭発表のレジュメは本年2月に組織委員会によって受理されている。以上の調査を踏まえて、そのまとめを来年度初頭に行い、最終報告のレポートを夏前にソウルの組織委員会に送ることになっている。なおこの主題のための研究委員会の設置をするフランスからの提案書には、すでに田辺が日本に関する発表をすると触れられていた。
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