平成11年度、および平成12年度の研究活動を通して、アフリカ南部のイギリス植民地・ベチュアナランドにおけるカラハリ・サン(ブッシュマン、とくにガナとグゥイ集団)の生業複合の実態を復元することができた。 具体的には、1930年代では、生業のなかで野生動物の毛皮を求める狩猟活動の比重が高く、農耕やヤギ飼育も営まれていた。その後、1950年代では、彼らの生業の中での出稼ぎ労働の比重が大きくなった集団と、相変わらず伝統的な狩猟採集に依存する集団とに2分してきたことが明らかになった。また、これらの事例は、ペチュアナランドの北部や南部の動向とは異なっており、カラハリ中部のサンの特徴であると結論づけられる。
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