研究概要 |
本研究の目的は,ブラジル国内,アマゾン河のバルゼア(Varzea)域水系における河川水位の年変化(季節,月変化を含む)および日変化の出現特性を解明することである.平成11年度は,主にマナウス地点におけるリオ・ネグロ川の日水位と日流出量の相関に関して分析した.使用した資料は,マナウス港管理局によって観測されている日水位のデータと,NASA,The EOS Amazon Project at the Univ.Washingtonによって推計された日流出量のデータである.研究実績の概要は次のとおりである. 1,日水位(H)と日流出量(Q)との間に線形一次回帰が成り立つことを想定し,この両者の相関係数(R^^-)を線形最小二乗により求めた.H,Qの両資料のそろう1975から1989年までの各暦年とこの間の年平均の値の値は,順に,1975 0.45;1976 0.66;1977 0.94;1978 0.55;1979 0.55;1980 0.72;1981 0.26;1982 0.73;1983 0.49;1984 0.35;1985 0.68;1986 0.22;1987 0.06;1988 0.48;1989 0.39;1975/89 0.60となった.ここに見るとお り,相関係数は年によりかなりのバラツキがある. 2.上の結果を踏まえ,R^^-が比較的大きい値で推移する1978〜1980暦年を例に,1978,79,80の各水年(7月から翌年の6月までの1年間)と,1975〜1989水年の平均のH,Q間の一次回帰式とR^^-を求めた: 1978水年: H=20.37+0.013Q R^^-=0.67 1979水年: H=17.99+0.015Q R^^-=0.71 1980水年: H=20.42+0.010Q R^^-=0.26 1975〜89水年の平均: H=19.46+0.015Q R^^-=0.61 3,日水位と日流量との間には,暦年はもとより水年を単位として見ても,1周年を単位として見る限り,年によっては比較的高い相関を示す年はあるものの,概して高い相関は認められない.この理由については今後解明したい. なお,オビドス地点の日水位と日流出量との関係についての解析も,現在実施中である.また,河口部の水位変動特性の一部については,「11.研究発表」欄のIntal.Sympo.:Manaus99(Brazil,Nov.1999)で発表した.
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