前年度からの研究を継続し、歴史時代の気候復元に必要な史料を収集し、データベースの構築を行なった。それには日本海側各地をはじめ全国の公立図書館・文書館・大学図書館などで、「小氷期」や「中世温暖期」を中心とした天候・災害記録を収集した。さらに文書だけでなく、デジタルカメラを使用して画像資料も収集し、ノートパソコン等を使用して構築中の「歴史気候データベース」に入力して、その充実をはかった。 このデータベースにもとづき、日本を中心にして天候頻度や気候災害分布図を作成した。つぎに現在の天候記録・災害記録と大気大循環の関係を分析し、とくに「小氷期」や「中世温暖期」の年代を例にし、気候変動についてエルニーニョとの関係などから分析を行った。さらに国内外の研究成果も取り入れて、従来特定の地域や年代について知られていた気候変動とその影響について、広域的かつ長期間について明らかにした。これらはエルニーニョなどから長期間の気候を復元したり、地球温暖化問題に関連して将来の気候予測を行なう際の基礎資料となると考えられる。 データベースおよびそれにもとづく研究成果は、一般にも広く公開するようにつとめた。とくにインターネット上のホームページに載せることにより、不特定多数の人々も自由な利用ができるようにした(http://edcgeo.edu.toyama-u.ac.jp)。またデータベース中に充実してきた画像データ等を活用することにより、多くの人々に理解しやすくなるよう表現方法を改善した。このデータベースについては、CD-Rでも配布できるようにしている。研究成果報告書はそうした研究成果公開の一環としてまとめた。なお、成果の一部については、日本地理学会の学術大会において報告した。
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