昨年度の研究計画に多少の遅れが生じたため、非外洋性海浜におけるデータを補足的に収集・解析した。その結果、暴浪の遡上限界には沿岸砂州(バー)のフィルター効果はほとんど関与せず、もっぱら海浜に入射する波の規模が遡上限界を規定しているということが判明した。 一方、外洋性海浜においてはバーの効果が顕著であることが昨年度の研究から明らかとなったため、本年度はその研究目的であるバーの発生機構を解明するため二次元造波水路実験を実施した。バーが発生しやすいような波浪条件を固定床上に設定して、砕波点近傍の流体場の特性を把握することに焦点を当てた。水路側面と水路底から同時に撮影が可能となるような装置を水路内にセットして三次元空間での現象を高速度ビデオカメラで記録した。その結果、砕波に起因する乱流水塊の降下現象が見出された。底面が砂で構成されている場では、この水塊により、活発な浮遊砂が生じ、これが砕波帯内の流れによって砕波点直下にまで運搬されバーが形成されるという機構が明らかとなった。
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