研究概要 |
平成12年度は,以下のような調査研究を行った. 1.平成11年度に行ったガンマ線スペクトロメトリ測定器のキャリブレーションと検量線作成を受けて,いくつかの試料のU,Th,K含有量の測定を行い,年間線量の推定を試みた. 2.平成11年度に作成した奈良盆地周辺の地形分類図に示された,地形発達史やネオテクトニクスの面から鍵を握るとみられる重要度の高い中・高位段丘面について,ひきつづき試料採取を行った. 3.上記のような中・高位段丘面の段丘堆積物試料について,予備実験のための試料採取と蓄積線量測定用の試料作成を行った.また,ガンマ線スペクトロメトリ測定用の試料作成も併せて行った. 4.αカウンティングによる微量試料のU,Th含有量の測定に関して,測定機器の調整と標準試料の測定,検量線の作成などを試みた. 5.もっとも普遍的なOSL測定対象鉱物であるSiO2鉱物に関して,測定条件の検討とOSL信号の挙動を考える上での参考とするために,合成stishoviteのOSL信号特性の測定を行い,その結果の一部をRadiation Measurementsに論文(共著)の形で公表した. 6.平成11年度に実施した予備測定と比べ,蓄積線量測定用のOSL信号については,再現性の問題などでかなりの改善が見られたが,実際の年代値を得るためには,まだ,検討の余地が残っている.最終年度は,これまでの実験結果を総合して,試料毎に適した測定条件を整理し,得られた年代測定値の意味を,中・高位段丘形成史との関わりで考察したい.
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