目的 本研究では家庭内における既婚男女のテリトリーの実態とそれに対する意識を捉え、テリトリー形成要因を探ることによってその促進の方策を探り、さらに各個人のテリトリー形成が各個人や家庭にどのような影響を及ぼすかを探ることによって個人の場がいかにあるべきかを追求することを目的としている。 方法 三重県北部に位置する新興住宅地の一戸建て住宅に居住する各家庭の既婚男女を対象に平成12年9月に留置式のアンケート調査を行った。 結果 テリトリーの実態では、既婚女性は家族共有空間を中心として、家庭全体をテリトリーと捉え、既婚男性は専用空間を中心としてテリトリーを形成している傾向が捉えられた。専用個室の使用方法は、専用個室所有者は即婚女性は納戸的な使い方をしているのに対し、既婚男性は自己形成の場として使用している傾向がみられた。既婚男性はプライバシー行為によって空間の使い分けをしているのに対し、既婚女性は精神的プライバシー行為は家族共有空間で行っていることが多い。また、既婚男性は精神的プライバシー行為は家族でも見られたくないと考えているのに対し、既婚女性は家族なら側にいてもいいなど自分自身のプライバシーについての意識が薄いことがとらえられた。既婚男女のテリトリーについて基本テリトリータイプと防御性を加味した防御テリトリータイプの2つを設定し、それぞれ個室テリトリー型、共有空間テリトリー型、全スペーステリトリー型、テリトリー非形成型の4つに分類し分析を行った。その結課、既婚男女とも空間条件や年齢、趣味、個人のプライバシーに対する意識、さらに既婚女性では自由時間、社会的活動の参加状況などにテリトリー型による違いがみられた。また、日常行為の場や所有物の置き場、所有物の使用状況、普段過ごす部屋、一人になれる部屋、くつろげる部屋等、家庭内の場の実態と意識においてテリトリー形成による影響がみられることが捉えられた。
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