人体にかわる可動性被服圧計測用下半身ダミーを試作することを目的とし、著者の今までの成果をもとに受圧部の硬さとした下半身ダミーを製作し、ダミー上の実測被服圧と理論計算上の推定被服圧および成人女子を用いた人体上の被服圧と比較し、ダミーの有用性の検討を行った。推定被服圧を求める際は、素材の応力緩和特性も考慮した。また、次年度予定の上半身ダミーについても、ダミーを試作しその有用性を検討した。その結果、以下のことが明らかとなった。 1.下半身ダミー上の実測被服圧は、推定被服圧と1.5kPa以下で緩和時間t=10^<-1>のとき、近似した。 2.ダミー上の実測被服圧は、人体上の実測被服圧と腹部、側腹部、臀部において近似した。大腿部前面、側面、後面においても両者の被服圧は近似した。 3.上半身ダミー上の実測被服圧は、胸部および上腕部および前腕部において、人体上の被服圧と近似した。しかし、背面においては、ダミー上の被服圧が高くなる傾向を示し、受圧面の再検討が示唆された。 以上のことから、本実験で試作した可動性被服圧計測用下半身ダミーの有用性は高いことが明かとなった。しかし、被服圧計測用ダミーの各種衣服への有用性を高めるために、受圧面の圧縮硬さの改良を中心に、さらなる検討が必要である。
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