人体にかわる可動性被服圧計測用下半身ダミーを試作することを目的とし、著者の今までの成果をもとに平成11年度は、受圧部の硬さとした下半身ダミーを製作し、ダミー上の実測被服圧と理論計算上の推定被服圧および成人女子を用いた人体上の被服圧と比較し、ダミーの有用性の検討を行なった。推定被服圧を求める際は、素材の応力緩和特性も考慮した。また、平成12年度は、成人女子および成人男子の上半身ダミーについても、ダミーを試作しその有用性を検討した。その結果、以下のことが明らかとなった。 1.成人用女子の下半身ダミー上の実測被服圧は、推定被服圧と1.5kPa以下で緩和時間t=10^<-1>のとき、近似した。ダミー上の実測被服圧は、人体上の実測被服圧と腹部、側腹部、臀部において近似した。大腿部前面、側面、後面においても両者の被服圧は近似した。 2.成人用女子の上半身ダミー上の実測被服圧は、胸部および上腕部および前腕部において、人体上の被服圧と近似した。しかし、背面においては、ダミー上の被服圧が高くなる傾向を示し、受圧面の再検討が示唆された。 3.男性用スーツ上衣の上半身ダミーの実測被服圧は、肩先、前腕付け根、背面、後腕付け根、上腕部において、静止時の場合、人体上の被服圧と近似した。しかし、動作時の実測被服圧は、後ろ腕付け根および上腕部の被服圧が近似しなかった。 以上のことから、本実験で試作した可動性被服圧計測用下半身ダミーの有用性は、あるものの、被服圧計測用ダミーの各種衣服への有用性を高めるために、受圧面の圧縮硬さおよび上肢部の関節部の改良を中心に、さらなる検討が必要である。
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