今年度は、主として1996年社会生活基本調査(総務庁統計局)の社会的活動に関するデータを研究目的に応じて加工した。社会的活動とは、報酬を目的としないで自分の労力、技術、時間を提供して地域や個人・団体の福祉増進のために行う活動であり、ボランティア活動を含んでいる。分析は、一日についての行為者率および行為者平均時間、一年間についての行為者率を属性別に比較することによって行った。主な研究成果と今後の研究の展開に関して、次の四点にまとめることができる。 1有業者の社会的活動は行為者平均時間、行為者率とも女性より男性の方が高い傾向にある。女性の中では「家事の傍らに仕事」をしている者の行為者率が高い。配偶関係別では男女ともに未婚者、離・死別者よりも有配偶者の方が社会的活動の行為者平均時間が長い。 2 一年間の社会奉仕活動(広義のボランティア)の行為者率は、男性24.2%に対して女性26.4%とわずかに女性の方が高い。就業形態を加えると、「家事の傍らに仕事」の女性がもっとも高く、続いて「主に家事」の女性、「主に仕事」の男性、「主に仕事」の女性である。専業主婦世帯よりも共働き世帯の方が行為者率が高く、有職者の関わりを示している。 3 社会奉仕活動の活動分野について全体的な傾向に男女差は少ないが、「児童・老人・障害者に対する奉仕」活動では女性の行為者率が高く、とくに子どもがいる世帯で男女差が顕著である。 4 今後の研究の展開としては、実際のボランティア活動参加者の生活時間配分に与えるジェンダーの影響を検討することが必要である。
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