研究概要 |
老人ホームの入居者に生きがい感を与えたり,情動を活性化するためにどのように取り組んでいるか,特に一部の施設で実施している化粧行動,ファッションショーに関して,その意識と実態につき施設側の方へのアンケート調査をもとに考察した。アンケート調査は,(1)特別養護67施設,(2)養護66施設,(3)軽費67施設の合計200施設に対して,1999年11月初旬に郵送調査法によるアンケート調査を実施した。調査票の回収率は,特別養護56.7%,養護77.2%,軽費79.1%である。なお,前回(1999年12月)の調査で,情動の活性化のために化粧行動,ファッションショーを実施している施設はできるだけ加えるように配慮した。調査内容は,(1)生きがい感を与えるための催し物,(2)趣味活動,(3)化粧行動,(4)ファッションショー,(5)おしゃれ意識などである。 「美容師を呼んで入居者に化粧をする」の実施率は全体の平均で33.1%であり,老人ホームの種類では特別養護が最も実施率が高かった。また「ファッションショーを行う」は7.0%の実施率であった。老人ホーム入居者のおしゃれ意識は,軽費>養護>特別養護の順であったが,特別養護でも「おしゃれに関心のある人もいる」の回答は65.8%を占めた。おしゃれへのアドバイスの必要性とその効果は,養護・特別養護>軽費であった。おしゃれに関心を持つことは若々しくなる,明るくなる,精神的な衰えを防ぐと,その効果を認めている。化粧行動を取り入れた理由は,上位から生活に変化を持たせるため,おしゃれに関心を持たせるためであり,明るくなった,おしゃれに関心を持つようになったと,化粧行動の効果を認めている。なお,ファッションショーについても情動の活性化の効果を認めているが,実施率はまだ低い。
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