研究概要 |
老人ホームの入居者の生きがい観や情動の活性化,衣生活のあり方,おしゃれ行動などについて施設側の方へのアンケート調査を実施し,前年の調査結果も加味しながら,老人ホームの衣生活と情動の活性化について考察した。アンケート調査は,(1)特別養護100施設,(2)養護100施設,(3)軽費100施設の合計300施設に対して,2000年10月中旬に郵送調査法によるアンケート調査を実施した。調査票の回収率は特別養護68%,養護83%,軽費86%である。調査内容は,(1)生きがい観を与えるための催し,(2)施設の環境づくりへの配慮,(3)施設内での衣生活(衣服着用の規則,日常着と寝衣の区別,着替え,衣服の入手と廃棄など),(4)入居者用衣服の必要性能,(5)おしゃれ意識と行動(おしゃれへの関心,関心の男女差・年齢差,おしゃれに対するアドバイスの内容・効果,おしゃれをさせる時・頻度・必要性)などである。 生きがい観を与える催しは施設の種類に関係なく,季節に合った行事,誕生会,子供との交流会,趣味活動,外に出かけるなどの催しが多く行われていた。環境づくりへの配慮では,入居者のプライバシーの保護,衛生面,花・草木を置くなどの配慮が多かった。衣生活では,衣服着用の規則のある施設は全体的に少なく,最も多い特別養護でも22%であった。日常着と寝衣の区別,着替え行動,入居者用衣服の必要性能は,特別養護・養護・軽費の間に差がみられた。おしゃれ行動については,施設の種類に関係なくおしゃれの必要性,おしゃれによる精神的面への効果を認めていた。また,おしゃれへの関心は男性よりも女性のほうが高いが,おしゃれの関心と年齢とは関係がないとの回答が多かった。
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