研究課題/領域番号 |
11680117
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研究機関 | 昭和女子大学 |
研究代表者 |
下村 久美子 昭和女子大学, 生活科学部, 講師 (80162816)
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研究分担者 |
小見山 二郎 実践女子大学, 生活科学部, 教授 (60016574)
小ノ澤 治子 昭和女子大学, 生活科学部, 教授 (10054149)
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キーワード | 水晶振動子 / 固体脂肪汚れ / 界面活性剤 / 洗浄 / 振動数 / アドミッタンス / 粘性変化 |
研究概要 |
水晶振動子法は振動子表面に付着した基質の脱離状態を共振周波数から重量変化として経時的に測定できる方法である。この方法を用いて洗浄の物理化学的過程を明らかにするため、単純化されたモデル系を設定し、脂肪汚れの洗浄の過程を研究した。具体的には、皮脂汚れ中3分の2を占める脂肪のモデル物質を振動子表面に付着させ洗剤溶液中でその膨潤と脱離過程を追跡した。 今年度は昨年度に引き続きトリパルミチン、パルミチン酸と、さらにより皮脂汚れに近い成分の基質であるラード、牛脂を用い、各種界面活性剤(陰イオン系としてDBS、非イオン系としてC_<12>(EO)_7)および市販洗剤(弱アルカリ性洗剤、中性洗剤)による洗浄過程を調べた。その際添加濃度、温度およびpHを変化させて測定した結果、脂肪基質の膨潤、固体脂肪表面および内部への界面活性剤の吸着とそれに続く汚れの脱離過程における共振周波数変化を特定することができ、固体脂肪が除去される際の個々の段階を明らかにした。また、共振周波数変化と共に電極の付着物の粘性変化に伴う共振抵抗の逆数に比例するアドミッタンス指標の変化から、脱離過程における脂肪層の粘性の変化を経時的に追跡し、脂肪汚れの脱離過程についてより詳しい情報を得た。 その結果、以下のことを確認した。1)複合汚れのラードの除去過程はトリパルミチンよりパルミチン酸の除去過程によく似ていることから、ラード層は荷電を持った脂肪層としてパルミチン酸と同じような挙動をしている考えられる。2)アドミッタンス変化の測定から膨潤が進むに従って見掛けの粘性が上がる過程があること、除去に従って見かけ粘性は下がって一定値となることを確かめた。共振周波数変化とアドミッタンス変化を測定することにより、基質脂肪汚れの除去と見掛けの粘性変化の過程を観察することができた。3)皮脂汚れに近いラード、牛脂でも除去過程の測定結果からTP、TM同様陰イオン界面活性剤ではミセルは除去に関与せず、非イオン界面活性剤ではミセルが関与することが認められた。
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