1 目的 衣服内に比べ靴内は非常に高湿度になるため、靴を通しての熱と水分の移動特性を調べることは重要と考えられる。靴の形の影響をみるためヒールのある靴を用い人工気候室において運動負荷による着用実験を行い、快適性に及ぼす靴内気候と水分量の影響について検討する。 2 方法 同じ靴型で特別に製作した天然皮革靴および人工皮革靴、靴下としてナイロンストッキングを用いた。人工気候室において、被験者8名により、入室後21分間安静6分間運動負荷、後93分間安静とする着用実験を行った。温度湿度センサ装着部位は、趾間と足底で、皮膚上および靴と靴下の間とした。環境および靴内の温度、湿度、心拍数、口腔温を3分間隔で測定した。被験者の主観的感覚として、発汗感覚濡れ・湿り感、温冷感覚、快適感覚についても申告させた。 3 結果 測定部位別の温度湿度は趾間が最も高く、趾間と土踏まず、および趾間と土踏まずでのストッキング上とでは有意差がみられた。天然皮革靴着用と人工皮革靴着用とでは、靴内の温度・湿度、および温冷感、発汗感、濡れ・湿り感、不快感など被験者の主観的感覚はほぼ同程度であり、著しい違いはみられなかった。趾間の水分量は4つの主観的感覚と大きい相関がみられた。中程度の温度・湿度では、人工皮革靴は天然皮革靴とほぼ同様の着用性能を有していることがわかった。
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