染色堅牢度における汚染評価は、、汚染用グレースケールを用いた視感評価では、評価にばらつきがあり客観的な等級値を見出すことは不可能である。また、提案されている計測評価値もそれぞれ性質が異っており、最適な評価値を選ぶことは難しい。そこで、その導き出し方が重要ではないかと考え、色の濃さラインによる等級値表示を提案した。それが視感と良好に対応するか検証するために、細かく段落ちした試料を作製し、汚染用グレースケールの等級値と一致した試料対を選ばせるという方法で、視感等級値ラインを引くことを試みている。それによって、色の濃さラインとの比較が可能ではないかと考えている。 変退色評価については、染色布の色が種々であるが、視感評価基準は中色の灰色で作られた変退色用グレースケール1本しかなく、視感評価のばらつきは大きい。計測化を試みるにあたり、退色だけでなく日光堅牢度など変色を伴う色変化に対して、変退色用グレースケールの明度変化を視感はどのように適応させているのか検討していく必要性がある。そこで、マンセル表色系において48基準点を選び、その基準色から色相、明度、彩度のそれぞれの方向変化した試料を作成し、変退色用グレースケールを対照基準として視感評価させ、三方向性とグレースケール等級値との関係を調べた。 染色堅牢度評価において、国際間の相違を知るため、同じ試料を用いてタイと共同で視感評価実験を行った。汚染に対しては大きな違いは見られなかったものの、等級値が1級に近づくと日本が厳しく、逆に、5級に近づくとタイのほうが厳しく評価する傾向にあった。また、変退色においては、いずれの基準色においても、日本のほうが厳しく評価した。現在、香港において、同じ試料を用いて視感評価されており、その結果が得られると三国の比較が可能となり、国による傾向がより詳しく見ることができると考えている。
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