「飽食の時代」といわれて久しいが、日常の食事で捨てられる賞味期限切れや食べ残しなどの生ゴミは、地球環境への悪影響をもたらしている。生ゴミを効率よくコンポスト化する技術や活用方法についての具体的な研究は少ない。 このようなことから、本研究では生ゴミの保管中や乾燥過程で発生する悪臭の防止に脱臭効果が知られている竹炭とその製造過程で生じる竹酢液を併用することでその効果の有無について調べた。また、竹炭添加による生ゴミのコンポストとしての有効性をトウガラシ類を栽培してその収量とピタミンCやミネラル含量などの品質について同一圃場で3年連続栽培して調べた。さらに、自治体で環境行政に力を入れている住民を対象に生ゴミ処理に対する取り組みを調査し、環境保全型調理への生ゴミの活用のための具体的な提言を行なった。 本研究で用いた竹炭は移動炭化炉で400℃前後で焼成したものである。そのため、組織は柔らかく水、油の吸着に優れていた。この性質は、生ゴミを乾燥する際の時間の短縮と生ゴミからの油の吸着がよく、保存過程で発生する臭いの抑制にも効果的であった。竹炭を混合して堆肥として利用する場合3〜5%程度の添加がトウガラシ類の生育によい結果を得た。シシトウガラシ果実のビタミンC含量は竹炭添加に影響されなかったが、カルシウムやマグネシウムは栽培年度とともに多くなることがわかった。 農業と食卓を結ぷサイクルを作るために生ゴミの効率よい脱臭方法や製炭時に生成する竹酢液の利用をさらに検討するとともに、地域住民がそれぞれ排出する生ゴミを通して竹資源の重要性に関心をもつことでこれからの環境保全型食生活への取り組みを薦めたいと考える。
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