本年度は昨年に引き続き、添加する増粘剤を2種類として4種の硬さの異なる粘稠ゾルを試料とし、力学的特性として動的粘弾性を測定し、官能評価による飲み込み特性との関係を検討した。 α化デンプンおよびグアーガムの添加濃度を変化させて調整した4段階の硬さの試料は、サラダ油状、ヨーグルト状、マヨネーズ状、マッシュポテト状の硬さを持つ試料合計8種類である。動的粘弾性の歪み依存性の測定では、デンプン試料はグアーガム試料に比べ、貯蔵弾性率G'、損失弾性率G"および損失正接tanδの歪み依存性が顕著に認められた。周波数依存性の測定では、グアーガム試料の貯蔵弾性率G'、損失弾性率G"および損失正接tanδは、顕著な周波数依存性を示した。グアーガム試料は低周波数領域において、流動体の挙動を示し、デンプン試料はゲルのような構造の存在が示唆された。官能評価の結果、硬さを4段階に変えたデンプン試料とグアーガム試料とデンプン試料では、官能評価結果が異なることがわかった。すなわち、マッシュポテト状の試料ではグアーガム試料の方がデンプン試料に比べ、有意に飲み込み易いと評価され、マヨネーズ状試料では有意な差は認められず、ヨーグルト状とサラダ油状ではデンプン試料の方がグアガム試料に比べ有意に飲み込みやすいと評価された。また、動的粘弾性と飲み込み特性の関係を求めたところ、グアーガム試料では、べたつき感とtanδの間に負の相関、飲み込み易さとtanδの間には正の相関が認められました。デンプン試料では、べたつき感と貯蔵弾性率G'の間には正の相関、飲み込み易さと貯蔵弾性率G'の間には負の相関関係が認められた。
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