研究概要 |
本研究は昨年度からの継続研究であるが、昨年度は卵の鮮度が卵の熱凝固性および起泡性を利用した各種卵料理に及ぼす影響について、鮮度の影響,卵液のpH,卵液への食塩・乾燥卵白などの添加物および調理過程における加熱条件を物性および組織構造から中心に調べた。そこで本年は種が異なる鶏が産卵した卵と飼料組成が異なる餌を摂取した鶏が産卵した卵を用い、これらの卵が卵の調理加工特性である熱凝固性,乳化性および起泡性を利用した各種卵料理に及ぼす影響について昨年と同様の方法で検討を行った。種が異なる卵については名古屋コーチン種,岐阜地鶏について白色レグホン種と比較を行った。その結果、名古屋コーチン種の卵のゆで卵の卵白,卵黄の硬さは硬く、厚焼き卵の硬さも白色レグホンに比べ硬く、弾力は大であった。また、エマルションの油滴の数と油滴面積から乳化性を調べた結果は、名古屋コーチン種の卵黄を用いたエマルションは白色レグホンに比べ油滴が小さかった。乳化性は岐阜地鶏についても名古屋コーチン種と同様の結果であった。また、標準飼料にビタミンEとリノール酸を添加した飼料を摂取した鶏が産卵した卵は、加熱卵白ゲルの弾性,粘性いずれも普通卵に比べてあまり違いは見られなかったが、生卵黄の粘性は大きく、乳化性も優れ、卵黄ゲルの凝集性も大きかった。これは卵黄球中の脂肪球が小さいことが要因の一つではないかと推定した。
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