1.野菜のバクテリアルフローラと電解中性水の処理効果 (1)原料野菜のバクテリアルフローラの量と種類を調査した。ニンジン、キュウリ、レタスでは、外部の方が内部よりも一般生菌数が多く、ニンジンでは外部1gあたりの菌数が10^5程度であるのに対して、内部では10^2以下であった。ニンジンに存在するこれらの菌の同定を生化学的方法で行ったところ、検出された菌種は、いずれも腐敗原因菌であるPseudomonas属、Pantoea属、Enterobacter属などのグラム陰性菌と、一部Leuconostoc属などのグラム陽性菌で、食性病原菌は倹出されなかった。 (2)カットニンジン、ホウレンソウ、キュウリを電解中性水(有効塩素50ppm)で流水処理すると、水道水処理に比べて、サンプル1gあたりの腐敗原因菌が、対数値で0.6〜0.8以上減少した。 2.電解中性水処理とCA/MA貯蔵 カットニンジンを電解中性水(50ppm)処理後、10および20℃下で3%O_2を通気してCA貯蔵、あるいは10℃下で10%O_2および3%CO_2、20℃下で6%O_2および7%CO_2の雰囲気によるMA貯蔵を行った。電解水処理は、処理直後に水道水処理に比べて菌数を減少させた後、CA貯蔵では10℃において、MA貯蔵では10および20℃において、貯蔵中の乳酸菌数の増殖を抑制した。カットホウレンソウを電解中性水処理後、10および20℃下において4%O_2下でCA貯穢を行うと、乳酸菌数は検出限界値以下のために差はみられなかったが、一般生菌数は、電解水処理されたサンプルでは処理直後から貯蔵期間中を通して、水道水処理区よりも常に低い値を維持した。なお、電解水は、CA/MA貯蔵中の両カット野菜の呼吸量には影響を及ぼさなかった。
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