研究概要 |
外因性内分泌攪乱化学物質のうち,本年度はエストロゲン活性作用が認められている食品添加物の保存料[パラオキシ安息香酸エステル類5種類]および酸化防止剤[ブチルヒドロキシアニソール(BHA)とジブチルヒドロキシトルエン(BHT)]の標準物質の定量法について,キャピラリー電気泳動法(HPCE),高速液体クロマトグラフ法(HPLC),キャピラリーガスクロマトグラフ法(GC)による検討を行なった.パラオキシ安息香酸エステル類については市販清涼飲料水中の濃度をHPCEおよびHPLCを用いて測定した.スチレンの主な尿中代謝産物である馬尿酸,マンデル酸等のHPCEとHPLCによる同時分析法についてはJournal of Chromatography Bに報告した. 成績を要約すると以下の通りである. 1)パラオキシ安息香酸エステル類(エチル,プロピル,イソプロピル,ブチル,イソブチルのエステル)5種類は,20mM四ホウ酸ナトリウム緩衝液にドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を20mM以上添加した泳動溶液を用いるミセル動電クロマトグラフ法(MEKC)により,5種類が7分以内に同時定量できることが認められた.GCでは5種類が11分以内に同時定量できるが,HPLCではエチル,プロピル+イソプロピル,ブチル+イソブチルのピークとなり5種類の分離は難しかった.数種類の市販清涼飲料水中のパラオキシ安息香酸ブチル濃度をMEKCにより測定した結果,各測定値はHPLCによる成績とよく一致した. 2)BHAとBHTは,20mM四ホウ酸ナトリウム緩衝液に15mMβ-シクロデキストリン(CD)および25mMSDSを添加した泳動溶液を用いるCD動電クロマトグラフ法(CDEKC)により定量できることが認められた.移行時間はBHAが5.4分,BHTは9.4分であった.GCおよびHPLC(電気化学検出)による定量法は現在研究中である.
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