研究課題/領域番号 |
11680147
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研究機関 | 中村学園大学 |
研究代表者 |
松隈 美紀 中村学園大学, 家政学部, 助手 (40259669)
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研究分担者 |
馬場 良子 中村学園大学, 家政学部, 助手 (90271436)
藤田 守 中村学園大学, 家政学部, 教授 (60037471)
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キーワード | 食物アレルギー / 小腸 / 空腸 / 回腸 / 吸収上皮細胞 |
研究概要 |
食物アレルギー発症機序の初期的段階において、食物性抗原(アレルゲン)になり得る高分子物質が消化管の上皮層を通過するかどうか、さらに食物性アレルゲンの種類によって、消化管上皮層への侵入に差異が見られるかどうかについて詳しく解明する目的で本研究を行っている。平成11年度に、食物アレルギーの発症機序に関する基礎的研究として、非特異的なトレーサーであるhorseradish peroxidase(HRP)およびHRPで標識した代表的食物アレルゲンであるovalbumin(ovalbumin-HRP)を管腔内に投与し、小腸吸収上皮細胞への取り込みおよび通過について検索を行った。その結果、高分子物質の種類によって、細胞内の取り込みに差異が見られた。そこで、本年度はさらに、管腔内に植物性のトレーサーであるコムギ胚芽、タチナタマメ、ダイズ、ハリエニシダ、ピーナッツレクチンを投与し、取り込みの差異が見られるかどうかについて、細胞化学的検索を行った。その結果、空腸吸収上皮細胞において、タチナタマメまたはピーナッツレクチンは頂部細胞膜の小さな落ち込みから取り込まれ、細胞内においても小さな膜系内に観察された。コムギ胚芽レクチンは微絨毛間の大きな落ち込みから取り込まれ、細胞内においても大きな膜系内に観察された。ダイズレクチンはごく僅かに細胞内に観察される程度であった。一方、ハリエニシダレクチンは、微絨毛表面への結合および吸収上皮細胞内の取り込みは観察されなかった。今回用いた高分子物質のトレーサーには細胞内に取り込まれ、細胞を通過するものと、微絨毛への結合も、細胞内への取り込みも見られないものの2つに大きく分類された。さらに、細胞内への取り込みに関しては、ごくわずかしか取り込まれないパターン、小さな落ち込みによって取り込まれるパターンと大きな落ち込みによって取り込まれるパターンの3種類があることが示唆された。これらの取り込みの差異は、それぞれのレクチンが認識する糖鎖によって決定されると思われるが、代表的な食物アレルゲンとして知られる小麦、大豆、ピーナッツは比較的良く取り込まれていた。これらのことから、乳飲期空腸吸収上皮細胞においては高分子物質によって、取り込みの量およびパターンには多様性があるものの、細胞膜に結合する高分子物質は細胞内に取り込まれ、上皮細胞内を通過するという共通する性質を持っていることが示唆された。しかしながら、離乳期以降においては細胞内への取込みは見られなかった。
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