研究概要 |
ダチョウ肉の鮮度が貯蔵中にどのように変化するのかを明らかにするために,新鮮ダチョウ腿肉(M.illotibialis lateralis)を冷蔵(3-4℃)した際の肉中アデノシン5'-三リン酸(ATP)関連化合物濃度の経時的変化を液体クロマトグラフィーを用いて測定した.それから得られた値を用い,K値(%)[{イノシン(HxR)+ヒポキサンチン(Hx)}/{ATP+アデノシン5'-二リン酸(ADP)+アデニル酸(AMP)+イノシン酸(IMP)+HxR+Hx}]を求めて鮮度判定を行ったところ,1日間で急速に25%まで達した後,10日目の45%まで徐々に増加した.さらに,同条件にて,肉中の生菌数と大腸菌群数を調べた.生菌数は新鮮肉で1.7×10^2cfu/g肉で,その後貯蔵中に増加し10日目に最高値の43×10^6cfu/g肉に達した.大腸菌群は貯蔵初期の4日間は検出されなかったが,その後急激に増加し,13日目に5×10^5cfu/g肉となった.以上の結果より,ダチョウ腿肉を冷蔵保存する場合,生食可能期間は4日間で,可食期間は少なくとも8日間であると示唆された. 加熱調理中のダチョウ肉の物性変化を牛肉および鶏肉と比較して調べたその結果,加熱調理中のダチョウ腿肉の物性変化は,収縮が鶏胸肉に類似し,加熱損失率および凝集性が牛腿肉に類似し,硬さが凝固中に急激に増すという特性を示した.このことから,以前に報告したダチョウ肉料理の嗜好調査において,刺身,たたき,マリネなど完全に加熱しない料理が好まれた理由が明らかとなった.
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