食事というと、かつては家庭内で、素材を購入して調理を行い、家族とともにする食事が一般的であったが、ライフスタイルに応じた多種多様な「外食」が増加している。また食の簡便さ志向とあいまって、調理済み食品、持ち帰りそうざい、持ち帰り弁当などを購入して、家庭内で食する「中食」形態が多くみられるようになった。最近増加傾向にあるこれらの食事形態は、人間関係のあり方や食事の機能に変化をもたらしているのではなかろうか。そこで、本年度は、昨年度に引き続き、本学女子学生の協力を得て、20名を被験者として2人組を構成し食事形態別の30場面をビデオ撮影した。収録したテープを起こし、発話を中心とした食事行動を記録した。発話を発語単位に区切り、その内容を食べ物自身のおいしさ、食事関連、食卓事物、日常的な家庭生活等の9カテゴリーに分類した。検定は分散分析の後、テューキーの多重比較によった。また、食事形態別に食事場面の落ち着き度を量的に評価した。30場面の分析では、食べ物自身のおいしさ15.7%、食事関連26.6%、食卓事物4.6%、日常的な家庭生活12.7%、非日常的な家庭生活7.5%、日常的な学校生活21.8%、非日常的な学校生活11.1%であるという結果が得られた。このことは、女子学生が友人とする食事では、食事のコミュニケーション機能が重視されていることを示唆するものであろう。女子学生2人組の食事形態の違いによる発話内容を比較した結果では、外食場面では、中食および内食場面に比べ、食事の話題および日常的な学校生活の話題が多い傾向、単位時間あたりの発話数が有意に少ないことが明らかにされ、落ち着かない食事状況であることが推察された。
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