ゴマ種子を200℃10分間焙煎し、電動磨砕機により40回転/分で5〜50分間擂ったゴマをすりゴマ試料とした。それらに水を加え、撹拌したものを水分散系試料とした。前年度に、15分以上擂ったすりゴマ試料の流動特性の測定は可能であったが、水分散系試料は加水量によって硬化するため、測定困難になることを報告した。そこですべての試料を用いて、テクスチュロメータにより硬さおよび付着度(付着性/硬さ)を、粘度計により降伏値を測定した。加水量はすりゴマ試料の重量に対して12.5、25、50および100%とした。 水分散系試料が硬化するほど、付着度は低下、降伏値は増加する傾向であった。加水100%の水分散試料はいずれもすりゴマ試料よりも軟化した。すりゴマ試料より硬化した水分散系試料は、加水12.5%のとき10分間以上、25%のとき15分間以上および50%のとき20分間以上の各水分散系試料であった。加水量が増加するほど、擂り時間が長いものが硬化する傾向であった。このことは、擂ることによる組織破壊に伴い、増加する遊離成分と水が相互作用すること、あるいは保水性が向上する変化が起きていることを示している。量的に多い遊離成分である油は水とエマルションをつくることを顕微鏡観察により確認した。すりゴマ試料をヘキサン脱脂後、極性脂質やリグナン配糖体を除去し、油を混合したモデルすりゴマによる実験から、これらの物質は乳化性よりも保油性ないし保水性に大きく関与していることが推察された。
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