研究概要 |
原産地調査による原石群の確立は産地分析の基本で、黒曜石では北海道置戸町の所山群、置戸山群、留辺蘂町のケショマップ第1群、第2群を確立した。置戸山群は、黒曜石遺物の産地が不明であったHS2遺物群と一致することが、またケショマップ第1群はFR2遺物群に一致することが明らかになった。山形県寒河江市の寒河江群を、香川県の坂出市ガラス質安山岩で奥池第1群、第2群、雄山群、神谷・南山群、大麻山南第1群、第2群を作ることができた。黒曜石製遺物で産地が決定出来なかった遺物で作った群は新潟県アチャ平遺跡のAC1〜3遺物群、岩野原遺跡のIN1〜2遺物群、山口県の南方、藤尾、岩上遺跡で使用されているYM遺物群などが確立された。サヌカイト様安山岩では、長野県飯山市千曲川流域の横川群、新潟県津南町の極野群などが作られ、遺物群は大阪府の粟生間谷No.98遺物群が追加された。現在、黒曜石では原石群と遺物群の合計196群が確立され、サヌカイト様安山岩では合計96群が確立され、国内随一の調査数で、これに伴い産地分析の精度も国内随一と言える。山口県内の旧石器時代の黒曜石製遺物には、西北九州産黒曜石が使用されていることが明らかになり、玉類では、日本最古の縄文時代早期の浦幌町平和遺跡出土の玉に日高産ヒスイが使用されていることが発見された。水和層測定は、北海道の米原遺跡出土黒曜石で、様式学で縄文時代早期と判定された遺物の水和層年代がB.P.約14,500年と判定され予想より約5千年古く判定された。今後この年代の差の原因を究明する必要がある。
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