1.弥生・古墳時代の遺跡から出土するカリガラスの多くは、銅イオンの着色による淡青色ガラスやコバルトイオンによる青紺色ガラスが多量に出土する。しかし本調査によって京都府大風呂南墳墓から発見された青色ガラス釧は、従来の銅やコバルトイオンによる着色ではなく鉄イオンによる着色であることが明らかになった。いっぽう、このようなガラスは類例が少なく藤ノ木古墳から検出された青色棗玉と同材質であることも明らかとなった。 2.弥生時代の遺跡から出土する鉛バリウムガラスの多くは、銅イオンによる緑色系を呈し、青色ガラスはコバルトイオンによる着色と考えられている。今回の岡山県有本遺跡から発見された青・白のねじり文様がある鉛バリウムガラスを分析したところ、CuO/BaO/4Si02が検出され、漢青顔料で着色されていることが推定された。これは日本における初めての発見でもある。 3.福岡県平原遺跡から発見された青色連玉は、二層構造を有する特殊なもので、内層には気泡を多数含むガラスが使用されており、古墳時代に見られる金層サンドイッチガラスとの類似が見られた。
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