研究課題/領域番号 |
11680167
|
研究機関 | 奈良国立文化財研究所 |
研究代表者 |
高妻 洋成 奈良国立文化財研究所, 埋蔵文化財センター, 主任研究官 (80234699)
|
研究分担者 |
手代木 美穂 東北大学, 工学部, 助手 (80323070)
猪股 宏 東北大学, 工学部, 教授 (10168479)
肥塚 隆保 奈良国立文化財研究所, 埋蔵文化財センター, 遺物処理研究室長 (10099955)
|
キーワード | 超臨界点乾燥 / 有機質遺物 / 寸法安定性 / 保存処理 / 二酸化炭素 / エチルアルコール / 有効拡散係数 / 出土木材 |
研究概要 |
(1)出土木材を水とCO_2の両親媒性溶媒であるエタノールに含浸し、超臨界CO_2乾燥を適用し、試料性状による乾燥特性の関係に関する検討を行った。溶媒が木材の繊維方向にのみ拡散すると仮定し、試料をPlane Sheetモデルとして一次元拡散モデルを用いて各試料に対して超臨界CO_2中のエタノール有効拡散係数を算出したところ、含水率の高い出土木材の有効拡散係数は現生材の値より大きいことが明らかとなった。エアロゲルの乾燥での有効拡散係数4〜5×10^<-9>m^2/secは超臨界CO_2中のエタノール分子拡散係数10^<-7>〜10^<-8>m^2/secよりは1桁以上小さいことからクヌーゼン拡散支配であると考察されているが、本研究の木材乾燥も同様の傾向が考えられる。 (2)乾燥度と収縮率の関係を整理したところ、現生材に比べて出土木材の方が乾燥度90%以上で大きく収縮した。これは木材組織に強く付着している微量の水分か、あるいは昇圧や減圧の過程で生じる表面応力が影響すると推察される。従って乾燥度と収縮率についても詳細な検討を行っていく必要があろう。 (3)CO_2流量と乾燥度の関係を検討したところ、冷却した液化CO_2を流入させ、100atmまで昇圧した後40℃まで昇温し、所定時間静置した後減圧した場合は、含水率の高い方が乾燥しやすく、また所定時間CO_2を流通させたあと減圧した場合はCO_2の量が多いほど乾燥が進むことが明らかとなった。
|