研究概要 |
平成11年度は,11月にドイツ連望共和国のフライブルク市を訪問し,小学校の教科書等の森林および林業に関する記述部分の資料収集,散歩などで森を訪れる市民へのインタビュー調査等を実施した。得られた資料から,小学校においては,混交林と単純林(モノカルチャー)との違い等が早い時期から教科書に盛り込まれており,またわが国では大学のみで講義されている森林の取り扱いの種類等についても,ギムナジウムの教科書等に詳しく紹介されていることが分かった。また,市民への聞き取り調査では,近郊のシュバルツバルトの森と人との歴史や林業の姿についての知識が,全体として豊かであることが分かった。 つぎに本年度は,森林や林業に関して,すでに何らかの行動を起こしている東北地方の森林ボランティアリーダーをはじめとした「森林活動家」のライフヒストリー(生活史)調査も実施した。その結果,森林活動家には中学生時代までに薪集め等の生活に深く関わった形での森林体験を有している人が多く,これら子どもの頃の経験が後のボランティア活動に踏み出す条件を作り出していると考えられた。 このほか本年度は,岩手県盛岡市内のU小学校および北上市内のK中学校において,森林教育を実践し,児童・生徒の授業時の反応や森林に対する認識の変化を観察法やアンケート調査法によって検討した。U小学校(5年生)では林間学校の前に小学校近郊の森林でフィールド活動と事前授業を実施し,林間学校での森林学習を単発で終わらないように系統だった森林教育を実施した。また,K中学(2年生)では学校林を利用した森林調査活動,樹木マップづくり等の取り組みを行った。これらの取り組みで得られたデータは,次年度のデータと合わせて分析する予定である。
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