研究概要 |
平成12年度は,9月に英国のロンドン周辺および英国南部地域の森林公園を訪問し、森林局のスタッフ等から聞き取りを行うとともに、一部、公園来訪者へのインタビュー調査も実施した。調査の結果、英国でも日本と同様に、林業についての市民の認識には否定的な傾向があり、森林局スタッフからは、子どものころから林業教育の取り組みが弱いという問題点の指摘が聞かれた。また、現地の公園インストラクターからは、来訪者が「なぜ森の木をきるのか」と聞かれた時には林業の伐採→植栽→伐採のサイクルの話をして説得する等の、市民への教育的対応の状況を知ることができた。 つぎに本年度は,小学校(5年生)の森林学習のための遠足に同行し、6名の被験者児童を選び、小型ビデオカメラを児童の頭部にとりつけて森林散策してもらう方法で、野外活動時の児童の行動について把握する取り組みを行った。その結果、ビデオ情報からは、事後の感想文等からは得られない児童の自然に対するリアルな感動の様子や活動の終盤では集合時間を気にしながら行動する等のいくつかの行動の特徴がうかがえた。サンプル数が少ないため明確な結論を得ることはできなかったが、(1)自然認識を深めるための森林散策活動では、ゆとりをもたせた自由行動の時間が必要なこと、(2)自由行動をベースとした活動のなかに作業的な要素の強い課題を含めることには問題があるかもしれないこと等、ビデオと事後の感想文等をあわせることで今後の野外活動の改善につながる貴重な情報が得られた。 このほか本年度は,盛岡市内および北上市内の中学校で同一の森林に関する授業を実践し,事前・事後にアンケート調査を行うことで生徒の授業の受けとめ方等について分析した。また、北上市内の中学校では、学校林の利用の仕方をテーマにワークショップ形式の授業を実践し、生徒の反応について検討した。
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