研究概要 |
平成13年度は,小学校(5学年)で試行された一連の「森林野外活動」を対象に,児童の意識変化を捉える目的で自由連想法アンケートや児童の学習記録(ポートフォリオ)等を分析した。自由連想アンケートでは、1回目から2回目、さらに3回目と森林学習の回が重なるのに伴い全ての刺激語に対する平均解答語数が著しく増加し、一連の野外活動によって森林に対する児童の知見、イメージが広がる様子が捉えられた。またこれまでほとんど自然と触れ合ったことのない児童は,身近な自然に触れることで感動した様子がみられたが,普段から身近な自然に接している児童は,遠方の林間学校エリアの森林において,より多くの刺激を受けた様子が確認された。以上の検討の結果、過去の自然体験レベル等に個人差がある集団においては、発表会等などの児童相互の意識を共有する取り組みや、複数の異なるフィールドで活動を行うことが森林教育活動では有効であることがわかった。また,森林等をフィールドとした野外学習活動におけるポートフォリオ評価のあり方については,指導する教諭によって児童のポートフォリオの量と質に相当の違いが確認されたことから,評価の前提となる指導のあり方を検討する必要性があると考えられた。 この他,本年度は研究のまとめの意味を含めて,学会セッションで「森林教育の課題と展望」を企画し,現場の先生方と研究者が集って森林教育の概念,実践課題等について意見交換する場を設定した。セッションの議論では,森林教育の目標は多様であり得るが,実践においては目標の明確化が重要であり,また教育を実施する側が楽しく実践できる取り組みを創造していくことが重要であることが浮き彫りにされた。
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